環境省 環境研究総合推進費 希少植物・絶滅危惧植物の持続可能な域外保全ネットワークの構築

今の植物園の現状

今の植物園の現状

現在の植物園の現状はどうなっているのでしょうか?
植物園の運営が民間機関などに代行され、指定管理者(植物園を管理運営する立場にあるところ、民間であれば株式会社などが相当する)が一定期間で変わってしまうことにより、植物園に働く人たちに対しての身分保障が不安定になっています。また、このような状況から植物園に携わる専門的な人材の育成、希少植物、絶滅危惧植物の保全に対する設備投資など長期的な計画が必要となる運営が困難になっているのが現状です。

希少植物の域外保全の拠点となりそうな施設(植物園)の閉鎖がすすみ、希少植物の保全が難しくなってきています。

植物園内にチューリップやパンジーなどは多く植えられても、希少な野生植物を植えることは難しいのが現状です。

植物園内 植物園内

日本の植物園が抱える問題点

このように公園として扱われがちな植物園ですが、これらを束ねてがんばっている組織があります。日本植物園協会です。しかし、これから改善するべき課題が多くあるのです。

例をあげましょう。日本植物園協会は現在、絶滅危惧種を中心に約1000種の域外保全株を保有するとしています。しかし栽培個体の産地情報、分譲履歴、遺伝情報などは保存されていません。 ですから、ある植物園にポツンと1株の希少種があったとしても、「どこの産地から採られて、どこの植物園や業者・研究者を経由してきたのか」という由来が判っていないことが多くあります。 また、1株でもどこかの植物園にあれば、1種保有しているとカウントしているため、種内の遺伝的多様性を守る砦になりきれていません。動物園では、トラやサイなどの希少種について遺伝的な多様性を考えて繁殖を工夫しています。動物園の間で同じ管理システムを共有していて、各動物個体の由来も明確になっています。 残念ながら植物園は動物園と比べて、システムが劣っていると言わざるを得ません。

日本の植物園が抱える問題点 日本の植物園が抱える問題点

例えば、リュウキュウアセビは、2008年の集計では、まとめて15園が保有していることになっていますが、産地、および、遺伝情報は不明です。しかし、リュウキュウアセビには、沖縄産と奄美産があり、形態と系統が異なるので、まとめて考えるのではなく、別種扱いと考える方が妥当です。

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